慰謝料とは、不法行為により精神的損害を被った場合に支払われる損害賠償です。それでは、中絶をした女性が、男性に対して慰謝料請求を行うことは可能でしょうか。
性交渉自体に同意がある場合において、中絶に至ったことが、なぜ男性の不法行為と言えるかが問題になると考えられます。
この点について、性交渉自体に同意がある場合の中絶でも、男性に対し、慰謝料の支払いを命じる裁判例が登場しました。
裁判例では、中絶による女性の身体的、精神的苦痛や経済的負担などの不利益について、男性がそれらの不利益を軽減し、解消するなどの行為を行う義務があるとした上で、男性が逃げるような態度であったことなどから、その義務に反しているとし、損害賠償の請求が認められています。
中絶それ自体をもって直ちに慰謝料の請求を認めているのではなく、中絶による女性の身体的、精神的苦痛や経済的負担などの不利益について、男性がどのような行為を行ったかという点を問題としていることが注目されます。
慰謝料が認められる場合の金額については、現在の時点で裁判例も少ないことから、相場と言われるものまではなく、それぞれのケースの個別具体的な事情によるものと考えられます。
考慮されるべき事情としては、どのような経緯で妊娠に至ったのか、妊娠発覚後、どのような経緯で中絶することになったのか、中絶費用の負担を誰がしたのか、上記に関する男性の言動などが考えられます。
中絶の慰謝料については、その請求の可否についても検討すべき問題が多くあります。また、慰謝料が認められる場合の金額についても、様々な要素を考慮して算定することになりますので、その判断が難しいことがあります。中絶の慰謝料についてご不明の点がありましたら、専門家である弁護士にご相談ください。
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